ピアノコンクール審査員の寸評から振り返る、幼少期の【受賞条件】とは?

ピアノ



審査員と採点について知ることの重要性

 

こんにちは、ヒロです。

 

ピアノコンクールというものは、弾かれた曲ひとつひとつに必ず点数が与えれます。

 

そうです。概ね3名の審査員による「採点」です。

 

この採点の平均点で受賞の席を争うことになるわけです。つまり、3名のうち1名でも点数が低ければ、平均点で差がつくのです。ここをよく理解していない親も多いと思います。

 

具体例を挙げますね。

 

「明らかに受賞したあの子より、我が子の方が上手かったのに、、、。」

 

と感じたことが、みんさん経験あるかもしれません。親としての主観的感情による評価でなく、客観的にみた場合の話ですよ。冷静に分析してそういった結論に至ったのであれば、大抵はその通りです。毎日お子様の練習を聞いてきたあなたの直感は間違ってはいません。

 

では、なぜその子に負けたのかと言えば、ここに平均点による順位付けのタネがあるわけです。

 

あなたの子が全体的に出来がよく、審査員Aが8.0点、審査員Bが8.0点、審査員Cが8.0点をつけたとします。もちろん平均点も8.00点で受賞圏内。

 

一方、もう一人の子はミスタッチが数回ありました。素人目で見ても気付くレベルです。審査員Aの評価は7.8点、審査員Bは7.8点、最後の審査員Cだけが8.5点。もうおわかりですよね?平均点としては8.03点になりますので、こちらの子があなたの子を抜いて受賞するわけです。

 

要するに、審査員のうちたった一人の点数さえ高ければ平均点で上回る(逆転する)可能性が大きいというのが、この採点方式のポイントです。

 

いかがでしょうか。たくさんの親たちが納得できないと感じた結果の裏では、このような数字のトリックがはたらいています。

 

いかなる著名な審査員も人間であり、それぞれの感性個性があります。

 

勿論、採点のポイントはコンクールごとにある程度ガイドラインが作成されているはずです。しかし、幼少期のカテゴリーでは一瞬で弾き終わってしまう曲が大半ですので、結局のところ、その場その場での感覚的な要素が支配的と私は考えています。

 

審査員は、その子が弾いている間に、その子の寸評A4サイズ程度に書き上げなくてはなりません。実際に見ていると、ひたすら書き続けています(かきなぐっています、、、)。そして次の子が弾くまでの30秒の間に点数までつけて評価を終え、また次の子の寸評を書くという神業を繰り返すわけです。

 

「えーと、あの子が8.3点だったから、えーとこの子は8.0点くらいかな?いやもう少し高くても、、」なんて悠長なことは考えていられないわけです。

 

すなわち、審査員の先生は即断で、ある程度感覚的に点数をつけているということです。

 

つまり、1名に高評価をいただければ受賞の可能性が高いわけで、多少のミスタッチはさほど気にしなくて良いといった結論に至ります。

 

ミスタッチ(要するに弾き間違い)いうのは音が外れるので、結構難しい曲の中でも素人が気付けるくらい目立ちますよね。

 

しかし、ロボットやオーケストラのピアニストではないわけですから、当然間違いは起こります。審査員の先生方は、そんなことよりも重視する項目があります。それは曲全体の流れです。どんな曲であっても必ず重視します。

 

多くの場面で“表現力”と指導されますが、表現力って言葉は意外にあいまいですよね。お子様に教える際に親たちでさえ戸惑うことがあると思います。

 

そこで、どのコンクールにおいても毎回のように審査員の先生方が仰る共通のフレーズを教えます。

 

「皆さん、最後の最後まで、楽譜を良く見て下さい。そこに全てが詰まっています。」

 

当たり前じゃん!と思うかもしれませんが、意外とこの事が軽視されがちです。つまり、楽譜の通りに弾いて下さいね、ということです。

 

強弱や音符の長さに至るまで、忠実に作曲者の意図に従って下さい。特に幼少期は。」

 

と言っているわけです。実は、本当に楽譜通りに弾ければ、必然的に曲が表現されます。これは私見ではなく、ピアノという音楽を学問とした場合の一般論です。幼少期コンクールで受賞するためには、独り善がりの自由な弾き方をさせるのではなく、楽譜(特に記号)を一緒に見て、みなさんも一緒に覚えてあげて下さい。

 



審査員の総評から考察する、受賞に向けたアプローチ

 

ここで、大胆にも我が家の子供たちの寸評について供覧します。原文のままですが参考にして下さい。

 

ブルグミュラーコンクール・幼児(地区予選) 曲目「スラブマーチ」 優秀賞 8.2点

 

しっかり弾けていました。スラブのイメージも表現できていました。もう少し流れた方が良いかな、、、?これからも頑張って下さい。☆評点8.5(某大学ピアノ講師)

 

ステージマナーがとてもよくできていました。しっかりした音が良く響いている演奏でした。伴奏の音をもう少し弱くすると音楽の流れがさらに前に進みます。頑張って下さい。☆評点8.1(某学院ピアノ講師)

 

はっきりとした音で演奏できていました。右手と左手のバランスを考えて弾けると更に良くなると思いました。☆評点8.0(著名ピアニスト)

 

ブルグミュラーコンクール・小学3,4年生B(地区予選) 曲名「タランテラ」 優秀賞 8.3点

 

タランテラのイメージをよく理解しています。バランスに注意しましょう。両手で作るハーモニーも整理したいですね。もっとスッキリくると思います。全体的にはよく練習していると思います。表現力を磨きましょう。☆評点8.4(某大学ピアノ講師)

 

表現力のある演奏がよかったです。大きな音の時に腕が固くなり音が割れてしまう事が気になりました。これからも頑張って下さい。☆評点8.0(某学院ピアノ講師)

 

響きのある音で演奏していました。テンポも良く左手の弾き方も好感を持てました。響きを聴いて、それからペダルを踏んで下さい。それを意識すればもっともっと良くなりますよ(^^)。☆評点8.5(著名ピアニスト)

 

いかがでしょうか。キーワードが何度も登場しますよね。それだけ重視されているということです。そしてこれらは全て楽譜の中に記号として詰まっている内容なのです。あとは、練習して忠実に再現できるか、この点につきます。

 

みなさんのお子様も、コンクールを意識している段階であればぜひ参考にしてみて下さい。一人でも多くのお子様が受賞を経験し、人生をステップアップしていくことを願っております。


 

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