何も考えず【線香】を上げている社会人は恥ずかしい?!【お香】の歴史から【線香】の意味を学ぶ

仏教



お香(こう)の歴史

 

こんにちは、婿殿HIRO(@donomuko16)です。

 

先日、道元の教えシリーズ(←まだ読んでいない方は今からぜひ!仏教の本質を簡単な言葉で解説しています。)を終え、ひと段落したのもつかの間。

 

ふと、私の書斎に置いた竹炭の芳香剤から白檀(びゃくだん)の香りがしたので、今回は「お香」についての豆知識をお伝えします。

 

「お香と仏教は関係あるの??」

 

そう思われる方もいるはずです。しかし、結論から述べると、お香と仏教はセットです

 

最近では、お香はお洒落なインテリアに近い感覚ですし、大抵は安価でどこでも入手できるので、一度は使用したことがある方も多いのではないでしょうか。私も癒しを求めて買ったことが過去に何度かありました(最後まで使い切ったことはありませんが、、、)。

 

では、さっそく本題です。

 

「お香」は、本来は仏のための供え物です。仏教用語では供香(そなえこう、くこう)と呼びます。実は、仏教が日本列島に伝来した際に、すでにお香もセットで入ってきました。

 

「えーーーー!!そんな大昔から本当にあったの?!」

 

はい。お香に関する日本最高の記述は『日本書紀』ですが、その中でのエピソードは以下の通りです。

 

西暦595年(推古天皇の時代)。淡路島に香木「沈水(ぢんすい)が漂着し、拾った人が何も解らないままかまどに入れて薪とともに燃やしたところ、大変良い香りがしました。その人は御利益があるのだと思い、すぐに朝廷に献上しました。

 

余談ですが、皆さんご存知の推古天皇は第33代目の天皇ですが、実は女性君主というのは東アジアで当時初でした。そんな女性天皇が誕生したタイミングで、偶然にも「お香」という文化が伝わったのですから、何となく美的な縁を感じてしまいますね。

 

仏教の伝来元である中国大陸では、花を飾り、灯明をともし、お香を焚いて仏に捧げるという一連の儀礼の道具としての位置づけでした。要するに、当時のお香は仏と人間を結ぶものと見なされ、仏の使い、信心の使いであるとされていたのです。

 

道元の教えシリーズを読んでいただいた方は、ここでの「仏」に対する認識の違いにお気付きかもしれませんね。それもそのはず。道元が誕生する遥か700年前の出来事ですから。伝来時の仏とは、現在でのいわゆる「神様」的なニュアンスでした。(※神道との違いは長くなるので別の記事でまとめますね!)

 

さて、当時は香木の多くが輸入物でした。つまり、日本にない品物として貴重だったわけですね。ですから、お香を知ることができたのは貴族と仏教僧に限られていました。そして興味深いことに、はじめは貴族たちの間でも「供香」という認識でしたが、やがては自分たちの住居にお香を焚くという習慣が産まれるのです。このあたりは、やはり昔から日本人の特徴が出ていますね。異国の文化をオリジナルに代えてしまう、そんな一面でしょうか。

 

その後、室町時代の頃には武士が権力を持つようになり、アジア大陸間との交易で香木も供給が潤い始めたことから、世の中に一気に広まっていきます。この時代の武士にとっては、禅をしながら、お香そのものの香りを楽しむことが流行でした。「聞香(もんこう・ぶんこう)」とも呼びます。聞くという字を使うことから、やはり根底には仏とのつながりを意識していたように感じられますよね。

 

御存知の方は少ないと思いますが、実は「武士道」や「茶道」などと同様に「香道(こうどう)」というジャンルがあります。具体的には、数種類の香木を焚いてその違いを当てるといった、いわゆる利き酒のような楽しみ方ですね。そうした文化は、やがては貴族や武士だけでなく庶民にも広がったわけです。

 

現在の「お香」を楽しむインテリア業界は、実のところ1000年前から何も変わっていないのです。不思議ですね。

 



仏像フィギュアの【イSム(いすむ)】

線香とは?

 

過去の記事で、社会人であれば仏教における葬儀作法を正しく知ることは最低限のマナーであるとはっきり述べましたが、そのうち「線香」について正しく理解することも需要です。

 

まず、「線香」には仏教において以下の二つの目的があります。

 

①仏への供香(←前述した通り)

 

②座禅での時間測定

 

ここでは②について追加で簡単に解説していきます。

 

座禅には単位があります。「炷(ちゅう/しゅ)」と呼びますが、これは線香が燃え尽きる時間を意味します。つまり、一炷とは「一本の線香が燃え尽きるまでの間」となります。このあたりは宗派によっても多少異なるので、御自身の宗派ではどう考えているのか調べてみると面白いかもしれませんね。

 

ちなみによく迷う方が多いのですが、線香の本数は基本的にひとり一本でOKです。ただし、その線香の煙が一筋に仏に届くよう、静かな気持ちで念じながら立てましょう(ここでの念じるというのは、自分のことをお守り下さいとかの自利ではありません。詳しくは過去記事の道元の教えシリーズを参照して下さい)。また、法要などで沢山の方がお供えする場合は、奥から詰めて立て、後に続く人達が立てやすいように配慮するのもマナーです。

 

そして、いかなる時でも線香を立てた直後には、必ず合掌と礼拝を忘れないようにして下さいね!

 

有名なお寺に参拝した際にはぜひ「線香」の販売コーナーに立ち寄ってみると良いです。もしかすると自分の注意を引く香りというものに出会えるかもしれません。そんな出会いがあればぜひ持ち帰ってゆっくりと香りを満喫して下さい。何か新しい知見が生まれるかもしれませんよ!

 

合掌



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